「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」展 特別講座報告
時代を超えた奇跡の手わざ~明治から現代へ~


2019年2月17日(日) 23名参加
講師:浅川真紀氏(あべのハルカス美術館主任学芸員)
近鉄文化サロンとの共催で、「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」展特別講座を開催しました。
作品の紹介は、チラシにも使われている、現代作家、前原冬樹の【木彫】≪一刻:皿に秋刀魚≫」から。この作家さんは、元プロボクサーでサラリーマンを経て、芸大に入り油絵を学び、今は木彫をしているという異色の経歴の方。もう一つ、チラシに載っているのが安藤緑山(1885~1959)の【牙彫(げちょう)】≪パイナップル、バナナ≫。象牙に細かい彫刻を施して着色されていて本物そっくりです。この安藤緑山は弟子をとっていないため、何を使って着色しているのかは現在もわからないそうです。また、この作品の時代、バナナは珍しく高級品であったはず。作品の収納箱には、「南国珍果」と書かれているそうです。次に【金工】の現代作家、髙橋賢悟の≪origin as a human≫ という作品について。ネアンデルタール人の頭蓋骨を模した作品の表面は、細かな花で覆われています。何と、生花で型をとって、アルミニウムを流し込んで鋳造するという技法だそうです。花びらの造形は本物そっくり。とても鋳造したものとは思えません。なぜネアンデルタール人なのか? それは、初めて死者に花を手向けたのがネアンデルタール人だったからだそうです。そのほか、【七宝】【漆工】【自在】【陶磁】【刺繍絵画】の主な作品について解説していただきました。作品に込められた作家さんの熱い想いに、ご自身の熱い想いをのせて、途切れることなく、たいへんわかりやすく解説をしていただき、早く見たい!という思いに駆り立てられました。
早速、美術館へと足を運ぶと、まず迎えてくれるのが現代作家、前原冬樹の≪一刻:皿に秋刀魚≫。白い丸皿に食べ残し(?)の秋刀魚。これが何とお皿と秋刀魚が一体の一木造りなのです。秋刀魚は油絵の具で彩色されていて本物と見紛うほどです。約140点の作品は、どれも、まさに「超絶技巧」。工芸品としての作品の素晴らしさもさることながら、ここまで追求するか!?と思わせるリアリティー、動植物への愛情、そしてウィットに富んでいて、遊び心も忘れない感性の素晴らしさが凝縮されていました。
セミナーの締めくくりに先生がおっしゃっていた言葉を思い出しました。
「明治も現代も、身近にあるものをリスペクトし、身近な事物を取り上げ表現している「手わざ」はすごい。スリーディーで何でもつくれる時代になったが、人間の手がつくる尊さ、技、情熱は素晴らしい」と。
まだご覧になっていない方、4月14日(日)まで開催中です。
アーカイブ
-
-
-
-
-
-
-
-
- 紀伊山地三霊場フォーラム 『未来につなぐ熊野の魅力』
- 風景街道「伊勢街道」連絡協議会 会長 裏 宗久氏のお話を聞きました。
- 大阪今昔物語 天王寺公園「てんしば」から中之島リバーサイドを歩く
- 「古地図で歩く 西国街道リレーウォーク」報告
- 「百舌鳥・古市古墳群」世界文化遺産登録記念 地域の中の古墳をどう活かすか ~文化的価値と観光力~ 実施報告
- 【講演会】「国絵図と西国街道」実施報告
- 2019年9月2日 越前 福井 城めぐり ~戦国の世に思いを馳せて~
- 古市古墳群を巡る~秋風の中。歴史ロマンを感じて~
- 近鉄グループホールディングス新入社員に日本文化体感プログラムを提供(2019 .10.4)
- 令和元年度第2回 全体会議・勉強会の開催
- 国宝 高田本山専修寺と津の歴史をたどる旅
- 桜咲く狭山池を経て、陶器山丘陵の尾根を通り堺へ歩く
- 下町の風情を残す 歴史と情緒あふれる谷根千を歩く実施報告
- 「薬草の里 宇陀で 薬草を学び薬草を食す」実施報告
- マスターズウオークの第1回目に参加しました
- 親子で学ぶ奈良 斑鳩で木の匠になろう2!
- 時代を超えた奇跡の手わざ~明治から現代へ~
- 3月7日(木)なんばスカイオにて開催しました
- 赤ちゃんパンダ(彩浜:さいひん) by川端
- 日本遺産の竹内街道と世界文化遺産登録を目指す古市古墳群を歩く
- 日本遺産の竹内街道と世界文化遺産登録を目指す古市古墳群を歩く by川端
- 「淀川を天王山から眺めてみよう!」の会
- ~秘められた京の美をたずねて~ 実施報告
- 安達えみ氏による「ガイドは地域の宣伝部長」等を行いました。
- 新春文楽鑑賞会 舞台と大道具製作室の見学
-