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歴史街道倶楽部イベント報告 2019年8月9日

植治次期十二代 小川勝章氏が語る

セミナーでは、無鄰菴、天龍寺、松尾大社、並河靖之七宝記念館、二条城を例に、お庭の鑑賞方法について解説をしていただきました。
―――単に庭を眺めるのではなく、庭にある灯籠や石がどちらを向いているのかを見て、作庭の意図(庭を作った人は、どこから庭を見てほしいと考えたのか。あるいは、どこが建物の特等席であり、どこが庭のビューポイントだと考えたのか)に思いを馳せるということ。
木にも成長の早い木、遅い木があり、いま現在とは異なる、作庭当時の庭の姿を思い浮かべてみるということ。
一度きりではなく、雨の日や曇りの日などにも何度も訪れて、庭の様々な姿を見るということ等―――

「お庭はまるで人のよう。人は、赤子と成人とで姿はまるで変わってしまっても、仕草や雰囲気にその“人となり”が現れる。それと同じように、庭にもその“庭となり”がある。」と、小川先生はおっしゃいます。一度きりではその魅力が理解しづらい点、時間を経て成熟する点においても、人と庭は似ているのかもしれません。
その他、樹木を移植する際、1~2年前から根の周囲を掘り、根の主な部分以外を切断して細い根の成長を促し、移植後うまく根付くようにすることを「根回し」というのだというお話がありました。現在では、交渉事などがうまくいくように、前もって関係者に話を通しておくことを意味しますが、これはもとは造園用語なのだそうです。

セミナーに参加された方々からは、「庭の鑑賞方法がわかったような気がする。庭を見る楽しみが増えた。」「庭園にもその歴史と人の思いが詰まっているのだと感じた。」「一度訪れた庭にも、また行ってみようと思う。」などのご感想をいただきました。

歴史街道では、セミナーやウォークのほか、歌舞伎や文楽などの伝統芸能鑑賞会、バスツアー、歴史文化に触れていただくイベントを定期的に実施しています。皆様のご参加および歴史街道倶楽部へのご入会をお待ちしております。