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イベント

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職人のまち西陣から庶民信仰のまち千本通へ

募集内容

実施日
2008年6月10日(火)

行程

京都市営地下鉄今出川駅・・・武者小路千家「官休庵」前・・・一条戻り橋・・・晴明神社・・・西陣織会館・・・昼食(京料理「萬重」)・・・松翠閣・織工房・・・千本ゑんま堂・・・釘抜地蔵・・・千本釈迦堂・・・上七軒・・・北野天満宮

レポート

実施日:2008年6月10日(火)

参加人数:135名

街角の辻にひっそりと立つ碑。一人歩きの旅にはややもすると見過ごしてしまいそうな歴史の道標。ボランティアガイドさんの説明は昔日の出来事も、つい昨日のことのように語り伝えてくれる。大路も小路も細い露地の裏にまでも車があふれ、街のそこここをのんびりと尋ね歩くことさえ難しい今日このごろ…。「西陣」と聞けば機織りというイメージもさることながら、歴史をひもとく人にとっては「応仁の乱」を想い起こすに違いない。もし、世界に残る古都が造営された当初から、戦禍も災害もなく、今にその姿をとどめることができたとしたら、民族にとってどんなに貴重な遺産だったことだろうと思うときが多々ある。
かつて、西陣の街は細い露地の通りにまで機織りの音が響き渡り、織物の文化をつくり出してきた街である。今、その音のにぎわいの多くが消えて久しい。織りの文化を新しい形で表現する西陣織工芸美術館「松翠閣」織美の作品には格別の趣が…。油絵を元に、織りによって表現した作品は素晴らしかった。ぜひ、日本画の作品にもその道を開いてほしいものである。
今、舗装に固められた地面には、かつての花の御所。室町幕府はどのような建造物をこの地にとどめていたのだろうか。権力の栄華、それは人間の望む夢のひとつにはすぎないが、その終焉はむなしい。御霊のタタリによって没落していった貴族、御霊をまつることによって栄えた貴族。その御霊の神殿は今、学問の神様として鎮座する天満宮。都人の日々の生活に、節目節目の出来に参る寺々。町家の中にひっそりと暖簾をかかげる老舗の専門店…。京都は訪れるたびに、歩くたびに新しい出合いの生まれる街である。

歴史街道倶楽部会員誌「歴史の旅人」より転載