MENU
イベント

イベント

古代史ゾーンを行く

名張に藩邸と古墳群を訪ねて

募集内容

実施日
2002年4月27日(土)

レポート

実施日:2002年4月27日(土)

参加人数:105名

3班に分れて現地ガイド嬢に案内され、まず市内探訪に向かう。名張といえば「藤堂家」。築城の名手高虎の養子高吉に始まり、現在に至る名家であるが、その藩邸跡を訪れた。近世上級武家屋敷の面影を残す遺構で、往時より小規模になったとはいえ、風格を残している。この後「ひやわい」と呼ぶ迷路状の路地裏や水路をたどり、造り酒屋や江戸川乱歩生家跡に古き名張を偲んだ。
名張は「まちかど博物館」を推進している町だが、その一つであり、名張の鎮守でもある宇流冨志禰神社で、宮司さんの説明を聞き藤堂家寄進の桃山時代の能面を見せていただく。
境内で昼食を済ませ、午後はその名も美しい美旗ヘ。ここからは常夜灯も残る旧初瀬街道のウォークである。「伊賀組紐」の工房を訪ねる。この素晴らしい工芸美術品を作るのも今やここだけとか。時代の性とはいえ淋しい限りである。
緑の美しい田園のなかに盛り上がった塚が散見される。「美旗古墳群」である。4世紀から6世紀にかけての七つの古墳が点在するが、我々は赤井塚古墳の石室に入る。真っ暗で何も見えない。懐中電灯の薄明かりのなか、突如ヌッと顔を出したのは古代人の幽霊ならぬ、事務局のN氏の悪戯。続いて三重県最大の馬塚古墳に行く。全長142メートルの飛鳥時代の前方後円墳で、公園化されていて墳丘に登れる。上からは美旗の風景が一望できた。初夏の暑い陽射しのなかを歩き、ほてった身体に一陣の涼風が吹き抜けた。
わりと近場にありながら、あまりよく知らなかった名張。その小さな日帰り旅が楽しく終わった。

歴史街道倶楽部会員誌「歴史の旅人」より転載