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歴史にふれる伝統的地場産業探訪の旅

西の京とがんこ一徹長屋

募集内容

実施日
2001年3月25日(日)

レポート

実施日:2001年3月25日(日)

参加人数:119名

天平のロマンを偲び、日本の伝統に触れるウォーク。生憎の雨模様の中をまずは菅原の里へ。道真公ゆかりの菅原神社ではちょうど古筆の供養が行われていた。さらに少し歩いて喜光寺へ。静かな境内にポツンと本堂があり、東大寺大仏殿の10分の1の大きさで「試みの大仏殿」と称される御堂は結構大きい。
のどかな田園風景を見やりながら、垂仁天皇陵まで約20分。小雨に煙る御陵は満々と水を湛え、回濠の中に小さな島が寄り添うように浮かび、田道間守の墓との由来を地元の語り部から聞く。小雨そぼ降る中、菜の花一杯の細道を三々五々唐招提寺へ。唐の名僧鑑真和上の創建になる大伽藍は金堂などが改修工事中のため全部は見られなかったが、静まりの緑の中に香り高い天平名刹の魅力は、十分に感じ得た。
がんこ一徹長屋は西ノ京駅の間近にあり、大和の6人の匠たちが各々日本の伝統技術を実演披露するこだわり一筋の職人長屋である。墨の資料館では古来から伝わる墨つくりの全行程をビデオで見た後、隣接する永楽庵にて180種類もの中から自由に選んだ墨をすり、気ままに習字体験のひとときを過ごした。
最後の訪問先は薬師寺。初めに山田法胤師のユーモアを交えた法話を時間を忘れて拝聴した後、いよいよ玄奘三蔵院伽藍の御堂に入る。平山郁夫画伯が30年の歳月をかけて献納されたという高さ2.2メートル、長さ49メートルに及ぶ大唐西域壁画の壮大さと迫力に思わず息を飲む。1200年前に創建された薬師寺大伽藍も長い歴史の中で次々と焼失し、現存するのは三重の東塔のみ。故高田好胤師の発願で金堂、西塔などの堂宇は再建されたが、大講堂は今も復興工事中である。
世界遺産の唐招提寺、薬師寺の堂塔が近い将来すべて復元され、美しい伽藍に再会できる日を空想しながら、雨の上がった西の京を後にした。

歴史街道倶楽部会員誌「歴史の旅人」より転載