MENU
イベント

イベント

パートⅡ(京都)室町時代

水墨画・枯山水と禅の精神

募集内容

実施日
2001年9月8日(土)

レポート

実施日:2001年9月8日(土)

参加人数:77名

幸い好天に恵まれ、二台のバスに分乗して京都駅八条口を出発。前回の安土桃山・江戸初期よりも少し時代をさかのぼって、室町期の禅の文化に触れるべくまず向ったのが妙心寺。四十余の塔頭の一つ、退蔵院にお邪魔して、大黒様より要領の良い説明を受けた後、方丈庭園を鑑賞、余香苑を巡る。瓢鮎図もさることながら、庭が面白い。興味をひかれたのが余香苑の入口にある一対の陰の庭と陽の庭。いくら見比べても区別がつかぬ。石を数えてみると陰が八、陽が七。これで納得。ともあれ水琴窟の妙音は、一人静かに耳を傾けたいもの。
次が竜安寺。石庭があまりにも有名。石の数は七五三と十五。どこに立っても十五全部を見通すことはできないという。竜安寺とは竜が安んじ得る寺なのか、襖絵には竜が躍動していた。狭い茶室にも工夫が凝らされている。「吾唯知足」の四文字は現代人の心から消失か。
三番目が最重要な金閣寺前食事処錦鶴だが、手提弁当の味や食後時間については参加諸氏にお任せするとして、次は大徳寺内の真珠庵。重要文化財の宝庫のような所だけに、参観態度の規制が厳しい。ここにも七五三の小石を配した庭があるが、竜安寺と違ってどこからでも見えるという。襖絵などは光量不足、老眼朦朧として要領を得ず。見るにあらず拝むものとか。
ここで二班に分け船岡山登山が入るが省略。先立班は階段にずいぶん難渋したとのこと。
最後の訪問先が銀閣寺。回遊式庭園の高所からの眺めの良さと、総門から中門にいたる両側の銀閣寺垣の美しさが、特筆に値する。
以上四か寺を巡り、午後五時過ぎ無事京都駅に帰着、それぞれ家路に着いたのだが、今日の見学会では、禅の精神に裏打ちされた庭や襖絵、茶室などを目にすることによって、多少はその意図を察知し得たのではなかろうか。特に中国伝来の石の文化とその宇宙観には、触発されるところがあったような気がする。

歴史街道倶楽部会員誌「歴史の旅人」より転載