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五感で体感!にほん文化シリーズVol.23 視覚『信長 天下統治への視線』






歴史街道倶楽部では平成23年(2011)より、近鉄文化サロンとの共催事業として「五感で体感!にほん文化シリーズ」を実施しています。これは、「五感」(味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚)プラス第六感をテーマに、セミナーと現地体験で日本文化の魅力を体感していただこうという企画です。
 今回ご紹介するのは、五感のうち「視覚」をテーマに「信長 天下統治への視線」と題し、「視覚性」を最大限に活かした信長の戦略についての講義と現地体験。
 講師は、元滋賀県立安土城考古博物館副館長の大沼芳幸さん。
信長の「統治」に対する思想は、安土城をはじめとした数々の構築物、そして豪勢な食にも現れます。これらは、信長の圧倒的な財力と権威を「視覚的」に示し、見る者に戦意を喪失させ、承伏させることを意識したものだということです。
私たちも、昼食に「安土饗応膳」をいただき、視覚で圧倒させられました。この饗応膳は、天正10年5月に信長が徳川家康や穴山梅雪を安土城にもてなした際の料理を再現したものです。お品書きには、「本膳」ふなのすし、たいのやき物、香の物、御めし、「二の膳」はも、こいの汁、「三の膳」がざめ、「よの膳」しきつは、「五の膳」お造りとありました。
尾頭付きの鯛だけで、十分満腹になりそうなお膳です。琵琶湖の特産品、鮒ずしに鯉汁。独特の風味の鮒ずしは、食わず嫌いか、手を付けずに残された方も多く、どうぞと差し出され、おいしくいただきました。
 昼食後、安土城天主信長の館で、当時の安土城の様子を再現したバーチャルリアリティー映像鑑賞と、スペイン・セビリア万博へ出展された原寸大の安土城天主(5・6階)を見学。内部には、信長が狩野永徳を中心に描かせた「金碧障壁画」、金箔10万枚を使用した外壁、金の鯱をのせた大屋根など、絢燗豪華な安土城が復元されています。
講師の大沼先生がおっしゃる通り、まさに視覚に訴えてくる、威圧感さえ感じる豪華絢爛さ。これが焼けずに残っていたなら、どんなだったでしょう。いくたびもの合戦、天下統一まであと一歩というところまでたどりついた信長の「視覚」を活用した戦略に圧倒され、安土を後にしました。
 滋賀県では、2026年の安土城築城450年祭に向けて、昨年から「『幻の安土城』復元プロジェクト」事業が進められています。
このたび、復元の方法などが4つの案にまとめられ、県内外から意見を募集されます。
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