MENU
イベント

イベント

常照皇寺とかやぶきの里・美山を訪ねる

募集内容

実施日
2006年4月21日(金)

行程

JR京都駅前(貸切バス)===常照皇寺===福徳寺===(昼食)===かやぶきの里・美山===JR京都駅前

レポート

実施日:2006年4月21日(金)

参加人数:72名

京都市街から北へ数十キロ、北山の峠をいくつも越えたところ、自然と歴史文化に彩られた京北と美山の里は、季節はずれの冷たい北山しぐれに煙っていた。あわてて上着と傘を用意して、バスを降りる。
肌寒い天候の中で、常照皇寺の天然記念物「九重桜」は、樹齢六百年の老木に誇らしげに花をたたえていたが、昨冬の異常な大雪でかなり痛めつけられ、例年の半分程度の花付きでしかなかったのが、なんとも残念である。南北朝の動乱期、夢窓疎石に帰依し、京北山国の地に隠棲された光厳院の御開創になる禅の名刹が、この常照皇寺である。方丈庭園に咲く一本のシャクナゲが、凛としてすがすがしい。続いて、奈良時代創建の古刹、福徳寺に向かう。非公開の重文仏像などを、特別に拝観させていただくことができた。
そして、こんな天候でしか見ることのできない風景を、美山かやぶきの里で体感することができた。雨上がりの裏山に雲霧がかかり、その中に三十八棟のかやぶきの民家群がしっとりとたたずんでいる。心洗われるまさに日本の原風景であった。地元の「文化財を守る会、保存会」の会員さんから、行く先々で解説をお聞きしたが、熱意あふれる地元の方ならではのお話は感動的ですらある。福徳寺に創建時から伝わる重要文化財三躯を含む八躯の貴重な仏像を、住職とわずか五十数軒の檀家で浄財を集めて修復保存し、守り伝えているというお話や、現代では決して住みよいとは思えないかやぶきの家屋をあえて守り残して、歴史的景観と住民の生活の維持を両立させ、我々にくつろぎと感動の場を提供されておられることなど、深く心に残っている。歴史と伝統文化を守り続けていくことの重さを考えさせられた一日であった。

歴史街道倶楽部会員誌「歴史の旅人」より転載